痛みについて

痛みの定義とは何なのか?

『組織損傷が実際に起こった時、あるいは起こりそうな時に付随する不安な感覚及び情動体験、あるいはそれに似た不快な感覚及び情動体験。』
※不安や恐怖心(過去の嫌な記憶から)でも痛みを感じる

【2種類の痛み】
1.組織の損傷による炎症性痛:認識系
2.過去の不快な記憶からくる感情痛:情動系

ほとんどの歯科医は、2番の情動系の痛みに関して診断ができていないと思われる。
痛みは見えるものではないので、患者さんから聞くことで診断するしかない。

例えば、一番多いのは「虫歯もないのに歯がしみる」と言う事ですぐに神経を取ってしまうような治療は絶対に行うべきではない。
当医院に来られた患者さんで、前のレントゲンと比べると神経がなくなっている歯が何本かある。
何度カルテをめくっても当医院で施術した記録は残っていない。
しかし、その歯がしみるという記載は残っている。

多分、説明したが痛みをすぐに消したかったのか、他院で神経を取って治療されたのであろう。
その歯が痛んでまた帰ってこられたみたいである。
しかも、痛みの原因は破折である。
通常他院では抜歯だろう。

一度失った神経は再生できない。
我々が生きている間に神経の再生は不可能であるという結論が出てしまっている。残念である。
結局、この患者さんの破折は垂直性ではなかった為、MTAというセメントを使用することで硬組織ができるのを待つという選択をした。
しかし、もともとの破折部からの感染があったため、外科的な処置も併用しながら、歯を残すことができた。
抜くのは簡単だが、残すためには知識と経験が必要。

ストレスがかかるとアドレナリンという物質が出てより不安を強くする。
そうなると痛みの闘値が下がり痛覚が過敏になってしまうのである。

エビデンスベースの話をすると、【女性】【不安がある】【慢性痛(3か月以上)】この3つが揃うと、最近身の回りに起こった変化、家庭環境など色々を患者さんから聞いて診断をしないといけない。
女性は男性に比べ、セロトニン(精神を安定させる物質)を作りにくい。
よって、過去の不快な記憶からくる感情痛が歯の痛みとして来院されるのである。

2021年の統計(e-Stat)によると1年間に保険で55万本以上の歯が神経をとるような処置がされている。
と言う事は、成功率を考えると27万本以上は失敗である。
以前にお話しした医原病と言われる感染根管処置は59万本以上が行われているのが現実である。
保険適用の歯科治療の限界を、この数字が物語っている。

何本の歯が必要ないのに神経を取り、何本が失敗に終わったのであろうか?

抜歯基準は医院によって異なる。
失敗して、痛みが治らないからと言って残せる歯もどんどん抜歯してインプラントになっているのも現実である。

歯医者はどこも同じ治療ではない。
技術、知識によって全く異なると言う事を理解して頂けると有難い。

イチハラデンタルクリニックでは、深い虫歯の場合、できるだけ抜歯しない・神経を取らない治療の米国式根管治療をご提案しています。
自由診療ではありますが、保険適用の治療よりも成功率が遥かに高く、痛みや治療を繰り返すことなく数回の治療で完治できます。