第19回 日本顕微鏡歯科学会学術大会

4/21から23日まで、顕微鏡歯科学会が開催されました。
歯内治療において大学病院の教授の発表がありました。その中で思ったことが一つ。

教授と名前の付くような方が、歯内治療においてすべての方にCT撮影を行っていないと言う事。当然失敗症例です。見落としの根管。

患者さんは大学病院に行けば治してもらえると思って受診しているはず。
ただ、保険制度に縛られた中で行っているとなると、これは仕方のない事。
神経の代わりになる薬もガッタパーチャーと呼ばれるもの。この材料は細菌の温床となりバイオフィルム(簡単に言えば微生物の集合体)と呼ばれるものを形成してしまう。
そうなると難治性となり治療も難しくなり、外科処置じゃないと治せないケースとなってしまう。

大学病院がこの状態なら、日本の歯科医師が世界から馬鹿にされるのも仕方ない。

歯科医はアメリカや韓国ではなりたい職業ナンバーワンだが、日本では圏外。
これは全て保険制度に問題があります。
教授ももちろん全ての方のCT撮影の重要性や、MTAセメントによる根管充填が理想と分かりながらも、数万円もする薬の使用はできないのであろう。

保険では平均点数が幾らかを超えると保険医取り消しという罰が待っている。CTを全ての方に撮れば間違いなく取り消しである。このままだと歯科も終わりだ。

折角セミナーに高いお金を払って勉強しても、「保険制度が邪魔をし最良の治療を提供できない」と思っている先生が多いのか?もしくは保険だから適当でいいと思っているのか?
保険での歯内治療成功率が低いのは仕方ない事、と諦めてしまっていいのか?

先日も千葉の歯科医院でオペを行ってきました。
その時の衛生士さんが歯肉が腫れているので切開してほしいと言う事で診ると根管治療の失敗。
治療をすれば治るのに、抜歯してインプラントと言われたそうです。
その日は申し訳ないけど患者さんが詰まっているのとフライトの時間があり、治療はできませんでした。今頃抜歯されていなければいいのですが、受診すると抜かれてるかも?

なぜ抜歯なのか?

当然病院により抜歯基準は全く異なる。何で抜かれたかも分からない、という方がほとんどではないだろうか?
世界中どこに行っても垂直性の歯根破折と歯周病でグラグラの歯は残すことができない。なので、もしかしたら割れてるとかうまく言われて抜歯されるんでしょう。

その衛生士さんの昔のレントゲンがあったので見てみると、取る必要もない神経も抜かれて自費の補綴が入っている。しかも治療は大失敗。
無茶苦茶な歯医者を受診されたみたいです。

が、大学教授はエビデンスはないが垂直性の破折に対する処置を行って歯を残す努力をされていた。
ここだけは少し考えさせられたところである。

エビデンスがないのは成功しないからであるが、今後は高齢化により神経のない歯の破折がかなり増えるだろうという発表もありました。

これから先、どれだけの「抜歯」と宣告された歯を救うことができるのであろうか?

一本でも多く救っていければと思った学会でした。